日本とフランスでは、乳児健診や予防接種の考え方・制度・進め方が大きく異なります。
とくにフランスでは、「義務」とされるワクチンが多く、日本での常識がそのまま通じない場面も少なくありません。
フランスでも安心して子育てができるように、日仏の乳児健診と予防接種の違いを整理してみました。
目 次
1)🇯🇵🇫🇷 乳児健診・予防接種スケジュール(年齢別)
2)🇯🇵🇫🇷 予防接種の法的な位置付け
3)🇫🇷 義務の予防接種一覧
4)🇯🇵→🇫🇷 日本で接種済みの場合の読み替えと、フランスで追加が必要なワクチン表
5)🇯🇵🇫🇷. 健診・予防接種の受け方
1)🇯🇵🇫🇷乳児健診・予防接種スケジュール(年齢別)
資料作成:中村ドゥメス芹菜さん(🇫🇷助産師)、バイィ染谷淑子さん(🇯🇵助産師)、川崎 梓さん(🇯🇵助産師)
2)🇯🇵🇫🇷予防接種の法的な位置付け
日本では「努力義務」で未接種でも罰則なしですが、フランスでは「法的義務」であり入園・入学に影響します。
在仏の場合、フランスの義務接種を満たすことが最優先となります。
3)🇫🇷 フランスの義務の予防接種一覧
フランスでは 次のワクチンが 義務化されています:
- Diphtérie(ジフテリア)
- Tétanos(破傷風)
- Coqueluche(百日せき)
- Poliomyélite(ポリオ)
- Haemophilus influenzae b(インフルエンザ菌b型)
- Hépatite B(B型肝炎)
- Pneumocoque(肺炎球菌)
- Rougeole(麻疹/はしか)
- Oreillons(おたふくかぜ)
- Rubéole(風疹)
- Méningocoques ACWY(髄膜炎菌A・C・W・Y群)
- Méningocoque B(髄膜炎菌B型)
4)🇯🇵→🇫🇷 日本で接種済みのワクチンの読み替えと、フランスで追加が必要なワクチン表
| 日本で接種済みor未接種 | フランスでの読み替え・扱い(フランス語名) |
|---|---|
| 四種混合(DPT+IPV) ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ 注意:日本の記号Pは、Pertussis百日咳のP。 つまり日本のDPTとは、ジフテリア、百日咳、破傷風、を指す。 | ✅ 義務クリア 四種混合(DPT-coq)と同じ ジフテリアDiphtérie – ポリオPoliomyélite-破傷風Tétanos – 百日咳Coqueluche 注意:フランスの記号Pは、PoliomyéliteポリオのP。 つまりフランスのDPTとは、ジフテリア、ポリオ、破傷風、を指す。 ⚠️ 日本のIPV(ポリオ)はフランス人に通じません。 |
| B型肝炎 | ✅ 義務クリア Hépatite B |
| Hib(ヒブ) | ✅ 義務クリア Haemophilus influenzae type b (Hib) |
| 肺炎球菌 | ✅ 義務クリア Pneumocoque |
| MR(麻疹・風疹) | 🔺 義務一部クリア 麻疹Rougeole + 風疹Rubéole ただし、おたふくかぜが未接種の場合、状況によってMMR(麻疹・風疹+おたふくかぜOreillonsの3種)追加を求められることがある |
| おたふくかぜ | ✅ 義務クリア Oreillons |
| 水痘 | △特定条件下でのみ接種が検討される Varicelle |
| 日本脳炎 | △国内では実施されず、流行地域への渡航者向けワクチン Encéphalite japonaise |
| BCG | ◯地域によって推奨 BCG (tuberculose) |
| ロタウイルス | ◯ 推奨 Rotavirus |
| 髄膜炎菌 ACWY (日本の定期接種制度に含まれていない) | ❌ 義務未達 → 追加必要 Méningocoque ACWY |
| 髄膜炎菌 B (日本の定期接種制度に含まれていない) | ❌ 義務未達 → 追加必要 Méningocoque B |
| RSウイルス(抗体) | ◯ 条件付き Virus respiratoire syncytial (RSV / Beyfortus) |

5)🇯🇵🇫🇷 乳児健診・予防接種の受け方
①予防接種の受け方・場所
| 項目 | 日本 | フランス |
|---|---|---|
| 主な接種場所 | 小児科・内科 | 小児科・かかりつけ医・PMI |
| 接種の方法 | 医療機関に行くだけ | 接種の手順: 1)医者を受診し処方箋をもらう 2)薬局に処方箋を持っていき、ワクチンを受け取る 2)自宅の冷蔵庫で保管 4)再度医師にワクチンを持参し、接種してもらう ただしPMIでは処方・保管・接種を一括でやってくれる ことが多い |
| ワクチン管理 | 母子手帳 | Carnet de santé Carnet de santéがない場合は、PMIに行けば、当日あるいは後日発行してもらえる。 |
| 予約方法 | 医療機関へ直接 | Doctolibなど/PMIに直接 |
| 未接種時の影響 | 原則なし | 義務接種は保育園・学校に影響 |
※PMI(Protection Maternelle et Infantile)とは、母子保健と乳幼児保護を行うフランスの公的サービスです。
②乳児健診の受け方・場所
| 項目 | 日本 | フランス |
|---|---|---|
| 健診の位置づけ | 公衆衛生として体系化 | 医療+母子保健サービス |
| 主な実施主体 | 自治体(市区町村) | かかりつけ医・小児科・PMI※ |
| 受ける場所 | 小児科・産婦人科・保健センターや公共施設 | 医師の診療所(Cabinet)/PMI |
| 主な健診時期(1のスケジュール表を参照) | 3–5日、1か月、 3–4か月、6–7か月、 1歳6か月、3歳 など | 生後8日以内、 1・2・4・6・9・12か月、 その後も定期的に実施 |
| 集団健診 | 1歳6か月、3歳 (自治体によって5歳も) | なし(個別のみ) |
| 案内方法 | 自治体から通知がくる | 通知はこない。 自分で予約(PMIは案内ありの場合も) |
| 費用 | 無料 | PMIは無料/医師診察は保険適用 |
※PMI(Protection Maternelle et Infantile)とは、母子保健と乳幼児保護を行うフランスの公的サービスです。
本資料は情報提供を目的としており、個別の医療判断については、小児科医、かかりつけ医・PMI等の専門職にご相談ください。