「眠りはなぜ必要か」シリーズ ③ 昼 寝

皆様も昼寝で心身がすっきりした経験をお持ちではないでしょうか。

昼寝のメリット

科学的に確立している昼寝のメリットには、以下の様なものが報告されています。

① 集中力・注意力の劇的向上

NASA研究で、26分間の昼寝がパイロットのパフォーマンスを34%、注意力を54%向上させることが実証された。

② 記憶の定着・学習効率アップ

6分のうたた寝でも記憶力が向上、短い睡眠でも脳は記憶整理を行うという報告がある。

③ 心臓・血管への良い影響

ギリシャの大規模研究で、昼寝習慣がある人は心臓発作リスク37%低下した。

10~20分の昼寝で血圧が平均5mmHg下がる可能がある。

④ ストレス軽減

昼寝中にストレスホルモン(コルチゾール)が調整され、精神的安定に寄与する。

⑤ 疲労回復

短時間でも細胞修復が進み、午後の疲労感が軽減する。

⑥ 認知能力向上

短時間の昼寝をした人は昼寝しなかった人よりも認知能力テストで良い成績を収めた。

脳の疲労回復に最適な昼寝時間は、眠りが深くなりすぎる前の「ノンレム睡眠(NREM)」の浅い眠りに留める20ー30分以内が適切であると言われています。

昼寝の効果を最大化するコツ

昼寝の効果を最大化するコツは以下の通りです。

• カフェインの覚醒作用が約30分後に現れる特性を利用し、昼寝前にコーヒーを飲んで寝ると昼寝のスッキリ感とカフェインの覚醒効果が相乗して、眠気を解消し、集中力が高まる(カフェインナップ)。

• 横になれなくても、机に伏せて目を閉じるだけでも脳は休息。

• 薄暗い・静か・涼しめという環境が理想。

• アラームは必須。20-30分以内で強制終了。

•昼食後の眠気が強い13時~15時頃が最適

短い昼寝は、脳の萎縮スピードを緩め、脳を実年齢より若く保つ?

さらに、昼寝については、2023年にイギリスのUniversity College London(UCL)の研究チームが約38万人を対象とした大規模調査で、「昼寝しやすい遺伝子を持つ人は、脳体積が平均で約15.8 cm³大きい」ことを報告し、これは「脳が2.6~6.5年若い」ことに相当すると推定しました。

脳は加齢とともに自然に萎縮し、30代後半~40代から緩やかに減少していきます。特に脳体積の低下は、認知機能の変化や将来の神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)のリスクと関連します。この「自然の脳の萎縮スピード」をどう緩めるかが、40代以降の脳の健康戦略のポイントです。

イギリスの調査は、短い昼寝(特に習慣的な20分前後)は、脳の萎縮スピードを緩め、脳を実年齢より数年分若く保つ可能性があることを示しています。脳のエイジングケアに効果がありそうですね。脳の萎縮に対する「昼寝」という戦略を、明日から早速、取り入れてみませんか。

参考資料:

1) Sleep Health: Journal of the National Sleep Foundation 9 (2023) 786–793

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久住静代(くすみしずよ)プロフィール:

東京の赤坂おだやかクリニック名誉院長。抗加齢医学専門医として、人生120年時代、いかに老化のスピードを遅くして、生涯、自立して健康に心豊かに生きるかという課題に取り組んでいます。